相槌三原則

全国亭主関白協会はすで に会員一万人を突破。 妻の尻に上手に敷かれ る亭主が増え続けている。入会動 機は様々であるが、奥様から無理 やり勧められた御主人も多いよ うだ。今や世界標準となった、愛 の三原則、「ありがとうをためら わずに言おう、ごめんなさいを恐 れずに言おう、愛してるを照れず に言おう」に、非勝三原則、「勝た ない、勝てない、勝ちたくない」。そ して、愛妻から可愛がられる亭主 になったという検証結果が続々と 寄せられている「お返事三原則」、 「うん、へぇ〜、わかった」を愛妻に、 ことあるごとに使おうと義務づ けているが、中には、「言わなくて もわかるのが夫婦というもの」と、 江戸時代のようなことをおっしゃ る方がいる。そういう御人には、 「青森県のいたこ(霊媒師)じゃな いんだから、以心伝心は難しかっ たりして」と笑って答えている。
 さて、ある奥様が、「一年前に亡 くなった主人が、相づちの名人で、 私のどんなグチにも悩みにも『そ うだね、わかるよ、その通り』と言 ってくれた。一周忌にはお墓の前 でたくさんの話を聞いてもらいた い。きっと、あの相づちをうってく れると思います」と、胸が熱くな るエピソードを話していたのを思 い出した。
 私はこの3つの言葉をいただい て、全亭協の三原則に取り入れ、 全国、いや、全世界に発信するこ とにした。愛妻の悩みやグチを、 「仕事が忙しいから」と敬遠する 亭主達の胸に必ず届くと信じて いる。
 長年の研究の結果、愛妻の「ち ょっと聞いてよ」は亭主に決して 意見を求めているのではないこと が判明した。ただ、話を聞いても らいたいだけの時が多いと睨んで いる。話の中身はあまりわからな いが、「そうだね、わかるよ、その 通り」と、合いの手を入れること が亭主力ではなかろうか。第一、 何を言っても「ちっともわかってい ない」と叱られるし(笑)。  夫婦は合わせ鏡。せめて、悩み を共感し、共有するこの三原則を、 しっかり心のメモに書き留めたが いいだろう。いずれ小遣いアップの 決め手になろうというものだ。ど こまで小さい男なんだ、天野周一、 エヘッ。

全国亭主関白協会 会長 天野周一

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