フリーマガジン 『リセット』 で大人気連載中の会長執筆のコラムをご紹介いたします。


亭主は妻を愛しているのだが、妻が亭主を愛していないのは、いかんともしがたい。

 世の中は格差社会とかまびすしい。ワーキングプアが増え、ホームレスも社会問題化していると聞き及ぶ。
 先頃開催した、全亭協の定例会において、夫婦間格差の問題が噴出した。石鹸ひとつとってもその差は歴然ではないかと、大議論になったのだ。亭主の使う石鹸は、ミカンのネットに、ビー玉大の欠片がいくつか入っているもので、油断するとナメクジのようにヌルヌルになるものだが、妻の石鹸は、香りがあるではないか。しかも泡がいっぱい出て、手の平の上に溢れかえるものと判明した。シャンプーに至っては、ノズルを手で押して髪に付ければ、これ又良い香りがして、洗う時、髪の毛に手がスルスルと入るというではないか。
 熊本の会員が言った。「私のそれは、チャーミーグリーンのような容器に入っていて、頭に直に振りかけるもの。ハッカが入っているようで、頭がヒリヒリする」。他の会員から、「それは紛れもなく洗剤だと思います」と合いの手が入ったが、いくらなんでもそれはないだろう。会長としての見栄もあって、「私なんぞ、ネットに入ったヌルヌル石鹸で髪を洗っている」ことは言わずにおいた。

 ことほどさように、夫婦生活に年季が入ってくると格差は広がるばかりで、家庭内の亭主の地位も、愛妻、子供、ペット、ちょっと離れて亭主という4番目のヒエラルキーがほぼ定着しているとの意見が大半を占めたのであった。最悪のケースは、家庭内から居場所がなくなりつつある会員がおり、「恥ずかしながら、家庭内ホームレスです。ハハ、ハハ…」と笑う声には、思いっきり力がなかったことが微妙に悲しかった。
 「全国亭主関白協会では、亭主の家庭内の居場所は、愛妻の心の中なんだよ。君たちはまだまだ努力が足らんナ」と無理矢理まとめ、愛の三原則を唱和し、非勝三原則を舞い踊って解散の運びとなったのだ。
 全国の亭主達よ、頑張れ!胸を張って家庭内に居場所を見つけるんだよ。だって私たちは、妻を心から愛しているではないか。ただ、妻が私たちを愛しているかどうかが分からないだけなんだから…トホホ。



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