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夫婦喧嘩の後の気まずい空気に耐えられる亭主がこの世に存在するものだろうか。滅多なことでは喧嘩はしないが、それでもプイッとされてしまうことがある。会長なのに、新!亭主関白道の五段止まりは、どうやらその辺りに原因があると見ている。 つい最近の出来事であるが、会話はとぎれ、気まずい空気が部屋を支配した。いつもは聞こえない冷蔵庫の開け閉めの音がやけに大きく聞こえるのは気のせいだろう。こんな時こそテレビが役に立つ。ピッと点ければドラマがあっている。ウヘッ、いけないっ。夫の浮気が原因でくんづほぐれつの喧嘩の場面である。何と間の悪い。「急いでチャンネルを変えなければ」。ウッソー、あんまり慌てていたもんだから声が大きくなってしまったではないか。「このメールが動かぬ証拠よ!」女優の大声に、愛妻が近付いてくる。トホホ。我が家でほんの30分前に飛び交っていた言葉と全く一緒だ。挙げ句の果てにはソファーの横に腕を組んで座ったではないか。「消そう。いや、消せばまずいのか」もはや、頭の中はグチャグチャである。「また悪い病気が起こったんじゃないの!」って、このドラマの脚本家は一体誰なんだ。いずれ抗議しなければならないっ。
こんな時、「笑えばいいのか、そっと席を立つべきか」。もう喉はカラカラである。せめて、愛妻の表情を確かめよう。テレビは正面にあるし、顔はテレビを見たまま、目の玉だけで横を見る。見えないっ。私はソファーに浅く腰掛け愛妻はソファーの背にもたれかかっているからだ。そうだ、何げにもたれかかればいいのだ。欠伸だ、欠伸がいい。さも、つまらなさそうにするのが、自然だ。「ファーアーアーッと」ないっ。背もたれがない。もんどり打って後ろに倒れた私は、フローリングで頭をしこたま打ってしまった。オットマンに腰掛けていたことをすっかり忘れていたのであった。「あなた、大丈夫っ」青くなって私を抱きかかえる愛妻。ここは意識を失ったふりをしておこう。かくして気まずい空気は一瞬のうちに吹き飛び、我が家のメール事件は一件落着になったのである。亭主諸君、気まずい空気を一掃するには気絶しかなかろう。って、そんな問題でもないか(笑)。
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