フリーマガジン 『リセット』 で大人気連載中の会長執筆のコラムをご紹介いたします。


 女のキレイになりたい欲望を男は身をきって支え続けるのだ。

 まだ明るいうちに風呂に入ると幸せである。なんだか、贅沢な気分になってくる。前から気になってはいた。「使っちゃダメ!」と言われていたので、手を伸ばすことをためらっていた。
 愛妻は用事で実家に帰っている。小心者の私は、それでも周りをキョロキョロ見渡して、思いきって宝石箱のようなものを開けてみた。この透明で、ガラスのような石鹸を一度使ってみたかったのだ。
 そっとタオルに塗りつけると、立つ立つ泡が。肌につけるとしっとり。これが「使っちゃダメ石鹸」の正体だったのだ。
 私の使っているものは、普通の石鹸が消しゴムのような大きさになったものを5、6個。しかもミカンのネットに入れたヤツで、泡など立ったためしはない。顔を洗うと嫌ぁ〜な、ヌルヌルで、ひょっとしたら、この石鹸は腐っているんじゃないかと常々疑問に思っている。
 それはともかくとして、「使っちゃダメ石鹸」を使った形跡がつかないようにそっと宝石箱に返すのが先決で、お次は「使っちゃダメシャンプー」である。
 凄い、よく見れば何種類もある。すべて頭にノズルのようなものが付いており、ピッと押して、頭につければ、立つ立つ泡が。洗っている最中にも髪がしっとり。フタを開けて頭に直にふりかける私のヤツとはモノが違う。確かに泡こそ立つが、立ちすぎて、頭がヒリヒリするし、洗っている途中から、髪に指が入らないギシギシ感とは大違いではないか。
 こうなれば、勇気を振り絞って、風呂から上がったら、「使っちゃダメタオル」も、使ってみることにする。ほらやっぱりだ。フカフカして、一瞬の内に体から水分がとれていく。拭くと体が痛い、向こうが透けて見える私のバスタオルとはこれも大違いじゃないか。
 が、そんなことより、大変なことに後から気がついた。「使っちゃダメタオル」は使ったことがバレてしまう。
 かくして、私の小さな冒険はバレバレで、その後使っちゃダメシリーズの石鹸、シャンプー、タオルは二度と私の目に付かないところに隠されてしまったのである。トホホ。
 しかし、いつまでも美しく輝くことが女に課せられた使命なのだ。あらゆるモノに格差があるのは仕方がない。チックショー(笑)



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