フリーマガジン 『リセット』 で大人気連載中の会長執筆のコラムをご紹介いたします。


 男に亭主関白を名乗らせる賢い女。どうせ関白は2番目の位なのだ。

 全国亭主関白協会がマスコミに注目されているらしく、にわかに忙しくなってきた。設立した理由をよく聞かれるが、そういえばこのコラムに書いたことがなかった。

  あれは7年前の夏の出来事。会社に行こうと玄関に出ると、3コの大きなゴミ袋がデン。リビングから、「あなたお願いネ」。セミの泣き声がジガジガ、ジガジガ、うるさい朝だった。「ふざけるナ!私を何と思ってるんだ、急いで書かなきゃいけない原稿があるんだ!」と、心の中で叫んでいた。口に出せば大変なことになるのは百も承知である(笑)。私がグズグズしていると、背後に愛妻の気配。ここは強気でいかなきゃクセになる。

  「カバンがあるから3コも持てないよ、2コにしてくれっ」「カチンッ」音がしたわけではないが、確かに聞こえた。「お願い、3コともっ」「いや、2コだ」「3コよ」大のオヤジが大人気ないが、ここは一歩も譲れない。押し問答はしばらく続いたが、「あら、そう」。出た。愛妻の、「あら、そう」である。「あら、そう」は我が家においては、「争う?」と同義語で、5倍、いや10倍になって跳ね返ってくる世にも恐ろしいフレーズなのだ。私は意を決して、キッパリと言ってやった。

  「ハイッ奥様っ」。  かくして、その日の通勤バスの中で、全国亭主関白協会は誕生した。男と生まれてきたからには、一度は亭主関白してみたい。さだまさしの歌が頭の中でグルグル回っている。

  ところが、「関白」の由来を紐解くと、2番目の位である。関白は強い、強いと思っていたが、所詮、時の権力者の次である。家庭でいえば一番えらいのはやはりカミさん。「やっぱり、これでいいのか」妙に納得した私は、亭主関白とは、「いかに妻を愛するか」それなら、「いかに上手に尻に敷かれるか」を研究するオヤジネットワークを広げようと決意した瞬間でもあった。

  いわゆる、『新!亭主関白宣言』は、世の中には何の役にもたたないが、亭主関白を勘違いしている強いオヤジ達を一人でも多く入会させて、ワケのわかった、弱いオヤジに変身させている。もはや「全亭協」が情けない団体であることは隠しきれない。



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