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 女の「それがね」症候群に、男は「はぁ?」と言ってはいけない

 4人の女性が私のテーブルのすぐ後ろに座った。この喫茶店は、私のお気に入りで、瞑想にふけるにはちょうど良い静けさなのだ。なのに、しゃべる、しゃべる。聞くつもりはなかったが、いやおうなしに耳に入ってくる。が、話が全然見えないのである。

 ある人は、子供のことをしゃべっており、ある人は、昨日観た映画のことをしゃべっているようでもあり、又、ある人は、ご主人のグチらしく、ある人は最近始めたテニスの話のようだ。恐ろしいのは、4人が別の話を同時にしゃべっていることであり、しかも、人の話は全然聞いているふうではなく、どの話も一方通行で、話がふくらまないことこの上ない。

 つまり、4つのストーリーが同時に展開するオムニバストークで、「私の話だけ聞きゃいいの」状態である。しかも、どの話も「それがね」から始まるが、いつ、どこで、誰が、どうした、という主語述語が完全に脱落している。

 ところがである、相づちは適当に入っていくのだ。凄い、あまりにも凄すぎる。「キミたちは、聖徳太子か」と思わず突っ込みそうになったほどである。

 そう言えば、思い当たるふしがある。愛妻の話も全く同じで、いきなりしゃべり出す内容は、「当然あなたも知ってるわよね」的なもので、たいていの場合、いきなり「それがね、行ってきたのよ」から始まる。  「はぁ?」
 「誰が?」
 「どこに?」
 と疑問を投げかければ、
 「もういい!」
 とプリプリ。勝手にしゃべり、勝手に怒り、勝手に去って行く。

  このことを全亭協では「それがね症候群」と呼んでおり、「さわらぬ神に祟りなし」で一致している。原因を解明すると、おそらく、頭の中でストーリーができあがった時点で、「あなたもわかってるわよね、結果だけ言えばいいじゃん」ドーパミンの作用であろう。どおりで、キャバクラ嬢の名刺を見つけただけで、「この前の出張は、この子と一緒だったのね」物語で責められるわけではある。

  かくして喫茶店で瞑想(反省)しなければならない羽目になるのである。



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