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全国亭主関白協会では、夫婦喧嘩はしない方がよろしい。いや、してはいけない、と説いている。その理由は二つ。一つは、必ず負けるから。もう一つは、愛妻の言う事が100%正しいからである。
この事に異論を唱える亭主がいるなら、それは無段者だからであろう。関白道の三段以上になると、万が一、愛妻にほとんど非がある場合でも、「君は間違っていない。その通りだ」と言う事になっている。これを白旗攻撃と呼ぶ。ただ弱っちいだけじゃないか、と思われると心外だ。第一、反論すれば体力を消耗する事になる。体力を温存しなければ、ちょいワルオヤジや、ちょいモテオヤジに変身する時、息切れてしまうのだ。ゆえに白旗攻撃とネーミングされている。(笑)
もっと本音を言わせてもらうなら、喧嘩して勝ったとしても何が残ると言うのだ。名もなき通りすがりのアホ亭主にできる事は、愛妻に自由にのびのびと人生を送って頂く事だけ。そのためには、負けて負けて、負けまくるべきだろう。
私ほどの高段者になれば、白を黒と言われれば、夜中にそっと起きて黒に塗っておく。翌朝、「やっぱり黒だったね」。こんな事を繰り返していれば、いずれ気が付いてくれるのだ。「ひょっとしたら、この人、凄いかも」そうすれば、口に出さなくても、お茶が出てくるようになる。テレビを見ていれば、黙って肩を揉んでくれるようになる。
つまり、昔の亭主関白は、相手に命令してさせるであり、全亭協の新、亭主関白は、頼まずともして頂く、というわけだ。強風でコートは脱がせないが、太陽でコートを脱がすのだ。と、理論は完璧に構築しているが、そのようになったという報告は、いまだに上がってこない。どころか、「調子に乗ってどんどんワガママになってくるんだもの」がほとんど。
「くっそー、女という生き物はどこまで図太いんだ」と怒り心頭の新入会員に、「まあまあ、落ちつきたまえ、そんな時こそ心の中で愛の三原則を呟くんだ。さあ、一緒に。一つ、ごめんなさいを、恐れずに言おう。一つ、ありがとうを、素早く言おう。一つ、愛してる、を照れずに言おう」全亭協が発足して約6年。愛妻には何の効力もなかった、とは口が裂けても言えない天野ではあった。
本年もよろピクッ。
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