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 男が夜半に友人を連れてきた時、女が気持ちよく接待する理由。

 第48回、全亭協定例会議(居酒屋でグチをこぼす集まり)は福岡であり、大変な盛り上がりをみせたのだった。

 福岡支部長の発案で、8月9日を亭主関白の日に制定することが採択されたのだ。

 カンパクのパクを8月9日とゴロ合わせをしただけの安易な考えではあったが、全員一致で可決した。酒の力とは恐ろしいもので、会員からは様々な意見が飛び交った。

 「ええ、私はこの日だけは、ゴミ出し、皿洗い、風呂掃除なんか一切やりませんからっ」や「私なんか、おい!お茶、といっぺん言わせてもらいます」どころか、「娘を正座させて茶髪を厳重注意だっ」など、口にするだけでも恐ろしい話が次々と披露されたのである。

 「亭主の底力というものを家族に徹底的にアピールするぞ、エイエイオーッ!!」で締め括った有意義な会合ではあったが、帰りの電車の中では誰もが無口になっていた。酔いが醒めるにつれ、それぞれの愛妻の顔が浮かんでいたのだった。

 「ブル、ブル、私にはできない」と震える新入会員が出る始末で、さっきのエイエイオーは何だったの状態だ。会長である私は後ろを見せるわけにはいかない。時計を見れば11時。

 「よし、みなさん、私についてきなさい。見本を見せてあげましょう」

 ピンポーン。

 「ただいま、今日は友人を5名連れてのご帰還です。起きてますかー、起きてますよねー。起きて、頂だいっ。なんちゃって」
 「はーい、お帰りなさーい、マイダーリン」

 ささ、あがって皆の衆。「す、すごい、さすが会長」

 「当然だよ、キミ。年季が違う。関白道4段だよ、あん。8月9日はガツーンとやりたまえ、こんな調子でね」

 酒の肴が手早く上手な愛妻は、テキパキと接待をする。

 「あれー、もうこんな時間だ。そろそろおいとまを。お邪魔しました」

 「えっもう帰るの。まだいいよ、もうちょっと、ねっねっ」

 会員を見送った私には儀式が待っているのだ。もちろん正座させられて説教である。

 「わかりましたっ、バッグですね、あの」痛い出費ではあるが面目は保たれた。が、500円玉貯金は相変わらず貯まる気配すら ない。会長職を早く替わりたーい。



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