フリーマガジン 『リセット』 で大人気連載中の会長執筆のコラムをご紹介いたします。


 女は矛盾をはらんでいる。人には言うが、自分が言われたくない言葉が五万とある。

 女性にモノを尋ねる時、最も気をつけなければならないのは、「チョット、オバさん」という呼び方である。

 久しぶりの日曜日にショッピングに付き合ったが、ウエイティングサークルで一服していたところに、愛妻が血相を変えて戻ってきた。

「ねぇ、あのオヤジにはマジむかついた。道を尋ねるのに、私のこと、オバさんって言うのよ、もう、ひどーい」。

青くなって捲し立てるから、よっぽどひどい目にあったのかと思ったら、これである。心の中では、「オバさんにオバさんと言って何が悪いんだ?」だったが、全亭協の高段者である私は、

「ひっどいなー、こんなに若くてキレイな君をつかまえて、ねぇープンップンッ」

と相づちを入れてやった。道を聞いてきた男は、無段者に違いない。女の本質を知らなすぎる。

 女のワガママは、いつも矛盾をはらんでいる。「オバさん」を例にとるまでもないが、自分はオバさんと絶対言われたくない。

自分が人のことをオバさんと呼ぶのはいい。自分が自分のことを「私、もうオバさんだから」と言うのもいい。つまり、幾つになっても「私は若くてキレイ」と思って生きている人種である。しかも「あの女には勝っている、あの女には負けた」と、一日一日を過ごしているとてつもないギャンブラーなのだ。

 したがって、全亭協の高段者は、女性に道を教えて頂く場合は、推定年齢40歳以上には、「すみませーん、マダム」と言うことになっており、推定年齢40歳以下には「すみません、お嬢様」が正解で、「すみませーんオバさん」と言っても許されるのは、推定年齢90歳以上が無難とされている。

ただし、そこまでいくとたいていの場合、耳が遠くなっているので、振り向いてもらえないことが難点ではある。



 戻る