フリーマガジン 『リセット』 で大人気連載中の会長執筆のコラムをご紹介いたします。


 叶姉妹のふたつの大きなスイカは本物だった。

 五百円玉貯金が底をついてきた。キャバ嬢との一夜の夢で愛妻を裏切った私は、毎日ソファーで睡眠をとっている。 小遣いも当然凍結されており、会話をすることも許されない。だが心配御無用。(誰も心配してないと思うが)フェニックス天野である。 こんな修羅場は幾度となく経験しており、不死鳥のごとく蘇る、ハズだけど…。 事情を知らないある会員から提案があった。「みんなで叶姉妹のトークショーに行きませんか。会長も元気なさそうだから」と足取りは重かったが、当日会場のホテルにはなぜか一番のりだった。

 500人程の入場者の99%は女性、もしくはニューハーフで、ただの男は我々だけだった。

 ショーが始まる前は立食パーティという。中は戦場で、ドレスに身をつつんだ女も男?も料理めがけてまっしぐら。

 全亭協の8人も遅れてはならじと突撃したが、戦利品は「唐揚げ」ばかりで、ケンタッキーでパーティー状態と化した。 唐揚げばかりを食べていると、鳥インフルエンザになる恐れもあり、「寿司でもつまむか」と寿司コーナーに割り込むことにした。

 今度の戦利品は「カッパ巻き」ばかりで、テーブルの上は運動会のお昼かのような光景が広がった。

 いよいよトークショーの会場に移動する時間だ。座席の番号を見ると、比較的前の席で、しかも美しい女性達に囲まれて座ることができたのは、日頃のおこないのせいだとビミョーにうれしかった。

 いよいよ叶姉妹の登場だ。「ガワイイー」「ズデキー」茶色い声がすぐ左右から飛んだのでこっそりチラ見すると、「ゲッ」やっぱり日頃のおこないが悪かった。 007のテーマーで登場した叶姉妹は、ご両人とも首の下に見事なまでのスイカを2つ実らせており、それはそれはゴージャスだった。20年後にはさぞかし立派なヘチマになるのだろうなどとあらぬ心配をしてしまった。

 会場を後にした全亭協会員に「今日は農業体験をしたことにしてね」と頼み込んだ。 スイカばかりに目を奪われ、帰りの電車の中の話題はやっぱりスイカやメロン、オレンジやヘチマのことばかりで日本の農業の未来が心配との結論に達した。 もちろん、トークショーの内容を覚えている者は一人もいなかった。懲りないヤツよのう。



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