 |
女は「美」の求道者である。現状から少しでも美しくなる為なら、どんな苦労もいとわないどころか、お金も惜しまない。いつ注文しているのだろうか、ありとあらゆる商品が宅急便で続々と送られてくる。
それだけならまだ許せるが、男にとって我慢ならないのは、いちいち同意を求められることだ。「ね、ね、シワが薄くなったでしょ」「ね、ね、色が白くなったと思わない?」「ね、ね、クマが目立たないでしょ」「ね、ね、ウエストが細くなったでしょ」である。
申し訳ないが、シワもしっかりあるし、色は地黒だし、顔全体がクマに似ているし、ウエストは最初からどこにあるのかも分からない。 が「そういえば、そうだネ」と常に答えなければならない。「すごいっ驚いた」では怒るし、「いや、そうでも」では血の雨が降る。つまり「ねっねっ」には「そういえば、そうだネ」が正解である。
それは本人も半信半疑だったりするわけで、全国亭主関白協会の2段以上になると「やっぱりお宅もそうですか」と、メモったりする。ところでさっぱり分からないのが、そんなに効果があるのなら継続してやれば、すごい美人になるはずなのに、やがて次の手段に移ることである。
ということは、私以外には誰にも評価されなかったに違いない。 ところがつい最近、メキメキキレイになっていくので驚いた。何か習い事をしているようで、そこの先生が若くてハンサムらしい。
「オイオイ」と言いかけたが、「ま、いいか」である。シワも肌の色もクマもウエストもそのままでいいじゃないか。「心がウキウキ、ワクワクすることが美しくなる秘訣だゾ」と、妙に寛大な私であった。 実は私もこっそりピアノ教室に通っている。その先生が若くてとっても美人なのである。白魚のような指が、ドジョウの指に触れる時、妙にワクワクしたりするが、ピアノの方はさっぱり上達しないから、心苦しい。
ワールドカップをTVで観戦していると、愛妻が急に静かになった。チラッと横目で見ると、今度は顔に白い紙を貼りだした。 「おまえはキョンシーか」と口から出そうになったが、頑張れ!ニッポン、頑張れ!愛妻である。私も頑張る。何を?
|
|
 |