フリーマガジン 『リセット』 で大人気連載中の会長執筆のコラムをご紹介いたします。


 「女が変化球を投げてきても、男はひるまず打ち返そう。」

 女はケチである。いや失礼、お金に細かい。つい先日もあるレストランのレジの前で「それじゃ、5人で割ると一人1978円ね」である。驚いたのは5人全員が1978円をちゃんと揃えたことだ。一人2000円づつ出して110円のお釣をもらってくれれば、私の会計はもっと早く済んでいたに違いないのに。そんなことは些細なことだが、とうとう大事件にが起こった。

 愛妻にこのコラムを発見されてしまったのだ。「これって私のことかしら」。

 心臓が口から飛び出し、夕食のエビフライがノドにからんで、しばらく呼吸困難に襲われた。が私は仮にも亭主関白協会の会長である。心臓を元の位置に戻し、エビフライをゆっくり飲み込むと、きっぱり言ってやった。

 「ごめんなさい」すると、予想だにしない言葉が返ってきた。

 「原稿料は半分、私のものよね」とんでもない変化球を投げてくるピッチャーがいる。

 「だって、ネタ元なんですから」である。見当違いも甚だしいので「ふざけるんじゃない」とテーブルをひっくり返して、ほっぺたをパーンと張るべきだったが、「そりゃそうだ、当然だ」と言ったらしい。(何をしゃべったか、記憶が飛んでいる)。トホホ。断っておくが、決して恐怖心からではない。あくまでも、「君子あやうきに近寄らず」なのだ。

 自慢ではないが、貧乏生活には慣れている。

 娘が小学生の頃「うちって貧乏?」といきなり質問するから、「誰がそんなことを言っているんだっ。おまえの曾祖父さんもお婆さんもお金には全く縁のない、由緒正しい貧乏なのだ。」と、こんこんと説明したくらいであり、こっそり小遣いにしていた原稿料を搾取されても、全然悔しくない。

 それよりも「リセット」の愛読者がどんどん増えていることが何よりも嬉しい。愛妻にわざわざリセットを贈ってくれた人に心より感謝したい。ご丁寧にもコラムのページに付箋紙まで付けて頂いて、重ねて御礼を申し上げておくっ!というわけで、我が家には一足先に春一番が吹き荒れ、懐には秋風が舞うという怪しい雲行きであるが、私はひるまない。何しろ全亭協の会長なのだから。んー。誰か2代目を継いでくれる人、いませんか。



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