フリーマガジン 『リセット』 で大人気連載中の会長執筆のコラムをご紹介いたします。


 男に大切なものは「明日の夢」だが、女には「今日の米」らしい。

 詳しいことは言えないがあの日以来、我が家は戦闘状態に突入している。

 和平交渉は続けているが、道は開けない。もうすぐ冬を迎えるというのに、何日もソファーで睡眠をとっている。

 「決着をつけよう」。全国亭主関白協会会長の私がこういうあり様では、会員にしめしがつかないのだ。

 「アロエは枯れてないかナー」と独り言を言いつつベランダに出て寝室を覗くと、敵は寝そべって本を読んでいるらしい。クスクスと笑い声が聞こえたのでトントンと窓をノックしたら、プチッと電気を消されてしまった。「長期戦になるかも知れない」。一人残された漆黒のベランダの静寂は耐え難いものがあるが、アフガン難民のことを思えば随分、幸せだ。

 会話こそないが、夜になるとコンビニ弁当が支給され、風呂のお湯はすっかり流されてはいるものの、シャワーを浴びることはできる。経済制裁なのだろうか、月々の小遣いは凍結されたが、私には500円玉貯金があるのだ。

 21世紀になって初めての戦争は、キャバクラの子とふざけて写った1枚のプリクラが原因だった。

 まさに自爆テロである。開戦当日は皿が飛んできたり、エビフライが顔をかすめたりする空爆が中心だった。 が、今では寝室に入れない、弁当を作ってくれない、洗濯をしてくれない。ないないづくしの地上戦に突入している。

 武力の差は歴然としているが、どうにかして現状を打破しなければならない。そのお嬢様と顔を寄せ合って写っていたことよりも、そのプリクラを後生大事に持っていた行為が許せないという。

 いったい女とはどういう生き物であろうか。価値観が全く違う人間同志が共存していくことは、想像以上に難しいものだ。テレビを付けると、ブッシュとビンラディンがやり合っている。全亭協会員諸君。プリクラは愛する人と撮らなければならない

 万が一違う人と写るなら、定期入れなどに入れては絶対いけない。しかもときどき取り出してニヤつくなどもってのほかだ

 大切なものは会社のデスクの引き出しに入れておこう。ん?なんか違うような気もするが…。



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