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 バーゲンは女にとって聖戦であり 男にとっては休戦である

 ようやく気がついた。女にとって一番大切なものはバーゲンだ。バーゲンという文字を見ただけで目はらんらんと輝き、瞳孔が開く。だからバーゲンの広告を吟味している時は声をかけない方が無難である。詳しい理由は言えないが、結婚に夢を抱いている男はバーゲン会場に決して足を踏み入れてはならない。

 注意深く観察すればわかるが、女は商品を買いに行くのではなく、バーゲン会場に行くことが主な目的のようだ。その証拠に、一度も着ない服や、一生かかっても使い切れない日用品が家中を埋め尽くしている。

 おかげで私が身につけている靴、靴下、パンツ、ワイシャツ、ネクタイ、スーツはバーゲン商品だが、不思議なことは、あれだけバーゲン好きの女性達が身にまとっているモノのほとんどが滅多にバーゲンをやらないブランド商品というのは納得がいかない。

 そのことを知りつくしている駅前の洋品店は、一年中バーゲンセールをやっており、いつの間にか3階建てのビルを建てた。ショウウィンドウの中からスッぱだかのマネキンが、通勤途中の私にウインクを送ってくれていたのに、最近では全員が黒人になっていたのには肝を冷やした。

 この事実から導かれる方程式はただ一つである。

 日本の経済は「バーゲン」が支えており、男など何の役にもたっていないということだが、ほんの少しありがたいのは、我が敬愛する妻がバーゲンでぶんどってきた戦利品を品定めしている時間だけが、私の短い安らぎの時間でもあるのだ。

 つまり、女にとってバーゲンは聖戦であり、男にとっては休戦なのである。

 「ひょっとすると君自身がバーゲン商品だったかも」などと心の中で思っても、口に出したら血の雨が降ることを忠告しておく。




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