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「キミを幸せにする!」愛妻に誓った言葉だった。
年月がたつと空気のような存在になった。一番近いところにいるのに、いつの間にか見えなくなり、声も聞こえない。
そうなるとお決まりのコースをひた走る。
クリスマスの日を家で迎えることがほとんどなくなった。
神の試練が私をおそった。
ある日、一枚の置き手紙とともに誰もいなくなった。
2日目、恥をしのんで実家に電話をかけたが、来ていないと言う。
3日目、心あたりに電話をかけまくったが、行方は要としてつかめなかった。
4日目、新幹線に飛び乗った。行く先は神戸だった。異人館通りにあるローズガーデン。おしゃれな佇まいはあの日と少しも変わらなかった。
まさか?と確信が入り交じった時間が容赦なく過ぎ去っていく。
夕闇がせまるころ目の前に立っていたのはキミだった。人目もはばからず抱きしめていた。
愛妻がポツリと言った。
「よくここがわかったわね」
新婚旅行はハワイに連れて行くと約束したが、夜行列車で来た神戸になった。
「バラに囲まれて暮らすって素敵だネ。いつか又、来ようよ」あれから、我が家のベランダには、毎年たくさんのバラが咲きほこるようになった。
「バラを見つめていたら、ローズガーデンを思い出したんだ」
「どうりで、そのサンダルはベランダで履くヤツじゃないの」
「足元に気づかない馬鹿な男だ」
「フフッ」「ハハッ」
いつの間にかあの頃のふたりに戻っていた。
失って初めてわかる大切な人。
幸せにするどころが、とんだ苦労をかけてしまった。
「ごめん、ウソついてた…」
思わずつぶやいた。
心の中が少しだけ軽くなった。
天野周一著「ごめん、ウソついてた。」より
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