「ナンバーワンにならなくてもいい♪、ぼくらは特別なオンリーワン♪」SMAPが歌ってヒットした。が、芸能界のナンバーワンから慰められてもねぇ。しかもオンリーワンとは聞こえがいいが、よくよく考えてみると、その他大勢ってことじゃないかしら?と、 ハタと気付いて一人で憤慨してる天野です。天野的考え方、つまり「アマニズム」では、世の中の様々な価値観を、とってもあまーい切り口で考えていこうという新企画。読まないほうがためになるという世にも不思議な連載に、期待されても、ええ、責任はとれませんからっ。


 2泊3日 座禅断食 体験記 終

 バリッ、バリッ、バッフーン」トイレの前で待っていると、雷が近くに落ちたような音が響いてきた。ところが、それどころではない。自分のおなかが限界点である。

  「んー、漏れそう」そりゃそうだ。2日間も何一つ口にしないで、大根の煮汁をたて続けにどんぶりで5杯も飲み干してるんだもの。もう我慢出来ないと扉を叩こうとした瞬間、トイレのドアが開いた。くだんの美女である。百年の恋もようやく冷めた。が、天国の門を天使が開けてくれたような気がした。

  「おお、これが宿便というものか、何と黒いヤツよのう」えも言われぬ爽快感が全身を包む。が、喜んではいられない。次のお方が扉を叩く。

  席に着いて一息入れていると、また、もよおす。今度は「ピィーッ」お尻に水鉄砲を仕込んでいたかしらん状態が5・6回続くと、全国トイレ争奪宿便大会の幕が下りた。  ようやく分かった。初日の夕方、緊張のあまり、「プッ」とおならが出たにもかかわらず誰も笑わなかった理由が。私以外はベテラン揃いである。「プッ」にいちいち反応していたら、今朝のトイレから聞こえてくる音には、耐えられまい。人間、トイレの前では、美女も金持ちもタダのオヤジも平等である。口から入れ、お尻から出す。人生はシンプルであり、格好つけて、どーすんのであろう。見栄や世間体やしがらみを気にして生きても何にもならない。素の自分を、等身大の自分をさらけ出して生き抜いていこう。まして、お金やモノにしがみつく人生など無意味なことだ。体に良いものを口から入れ、プルン、と出す。それだけで充分ありがたい人生ではないか。座禅断食は、宿便を出し、健康な体になるという効能はもちろんだが、心のアカまでとれた素晴らしい体験だった。当然、断食明けの1週間は玄米パンだけを食べて過ごしていた。

  そして、あれから半年、禅僧のような毎日を送っている。…んなわけないだろう(笑)。意志の弱い私は、相変わらず酒を飲み、タバコを吸って、体に悪い物を食べている。トホホではあるが、愛妻が、がなりたてている時、すぐ瞑想状態に入れるという特技が身に付いた。しかも、今まで以上に感謝している自分がいるのは、決して気のせいではない。断食恐るべし。



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